ようやく朝晩は
秋の気配を
感じるころになりました

皆さまも
一息つかれているのではないかと、
ちょっぴり安心しています

猛暑の夏でしたが、
考えてみれば、
こうして四季があるのは
ありがたいことぢゃね

数年前、
ベトナムを訪れたことがありました

約10日間の滞在

が、観光目的ではないので、
毎日、人と会うのに忙しくしました

4日間滞在したホーチミンから
大学の先輩のいるハノイに飛んで

また、3日後に
ホーチミン空港に帰ってきたときの出来事です

驚いたことに
ベトナムで知り合ったばかりの
女性実業家の方が
出迎えにきてくれていました

といっても
彼女はまだ三十代前半。
その日は
彼女の車で義兄の家に案内されることに…
夕食のご招待というわけ

幸運にも
ベトナムの家庭料理を
いただくことになったのですね

ところで、ベトナムでは年一回、
かなり盛大なお祭りが開催されます

海外で暮らすベトナム人も
そのときは
帰国する方が多いようです

折しも、
そのお祭りが終わった直後だったので、
ご馳走の並んだテーブルには、
ポーランドから帰国したという兄と
アメリカから帰国した姉が
同席してくれました

日本が大好きという
老いたお父さまも席についてくれて
お互いの商売のことなど
ジェスチャーを交えながらの
会話が弾みました

で、ベトナムにきて
こんな美味しい食べ物は
初めてだと
実感を込めて
感嘆したので
皆に大笑いされました

でも本当だってば。
ベトナムの家庭料理は
日本料理のようにあっさりして
とても食べやすいの

それに
こんなふうなもてなしをうけると
緊張の続く毎日を過ごしていたせいか、
ちょっと気がゆるんで
目の奥に涙がにじむような
嬉しい思いをしたことは確かなの

が、私は
ベトナム戦争についての話は
慎しむことに…。
ところが、かれらは
私のネガティブな考えを一笑…。
気軽なようすで
しかし真面目に、
当時のことを話してくれました

やがて楽しかった食事が終わり、
私たちは街の大通りにある
おしゃれなカフェに場所を
移しての
お話の続き…。
あの戦争が終わったとき、
地上に新聞紙一枚すら
見当たらない、
それくらい何もかもが
自分たちのまわりから
きれいさっぱり消失したこと

そして、
小さな子供だった自分たちは
靴みがきの仕事をして
生活費を稼いだこと

兄は当時13歳になったばかりで
その男の子が
たったひとりで
ポーランド行きの船に乗りこんだことや
同じく幼かった姉が
アメリカ行きの船に乗ったこと

想像しただけで
胸の詰まる光景ぢゃね…

「だから今も
ベトナム人は皆、
お互いを助け合う気持ちが強い」。
これは
彼らが最後に口にした
印象的な言葉です

で、
ご存じのように
常夏のベトナムですが、
今年の日本のほうが
はるかに暑かった気がするのは
どうしてかしらん
